【新型コロナワクチン接種】ワクチン休暇導入の際の企業対応と注意点

2021年6月12日 at 10:42

【新型コロナワクチン接種】ワクチン休暇導入の際の企業対応と注意点

 新型コロナワクチン接種が、医療従事者から始まり、高齢者や基礎疾患のある人、高齢者施設で働いている人、と順次拡大されてきました。
 個人差がありますが、副反応が出ることもあるため、政府からワクチン接種時に取得できる休暇制度導入の要請がありました。
 また、職域接種の受付も始まり、今後、企業としてどのように対応したらよいかをご紹介します。





目次
1 新型コロナワクチン接種について
  ●接種が受けられる時期
  ●接種回数と接種の間隔
  ●接種の対象
  ●接種が受けられる場所・手続き
  ●接種を受ける際の同意
2 ワクチン休暇とは
3 ワクチン休暇の内容と導入方法
  ●ワクチン休暇の内容
  ●導入方法
  ①就業規則に規定する
  ②規則に規定せず、特別休暇とする
4 ワクチン休暇の事例



1 新型コロナワクチン接種について

 新型コロナワクチン接種を受けた人は、受けていない人よりも発症した人が少ないということが分かっています。
(発症予防効果は約95%と報告されています)

●接種が受けられる時期

 接種を行う期間は、令和3年2月17日から令和4年2月末までの予定です。
 現在は医療従事者等と高齢者への接種が進んでおり、7月末を念頭に、各自治体が 2 回の接種を終えることができるよう、政府は取り組んでいます。

●接種回数と接種の間隔
 接種は2回必要です。
 ・ファイザー社のワクチン:通常、1回目の接種から3週間後に2回目の接種
 ・モデルナ社のワクチン:通常、1回目の接種から4週間後に2回目の接種

●接種の対象
 ・ファイザー社のワクチン:接種日に12歳以上
 ・モデルナ社のワクチン:接種日に18歳以上

 接種順位は、医療従事者、65歳以上高齢者、基礎疾患がある人と高齢者施設等で従事する人、それ以外の人、となります。
 妊娠中、授乳中、これまでに新型コロナウイルスに感染したことがある人も、接種できるとされています。

●接種が受けられる場所・手続き

 ・場所
 原則、住民票住所の市町村の、医療機関や接種会場で接種できます。
 接種総合案内サイトで接種会場を検索することができます。


 ・手続き
 市町村から「接種券」と「新型コロナワクチン接種のお知らせ」が届いたら、電話またはインターネットで予約をします。
 (予約なしで当日接種が可能な場合もあります)
 ワクチンを受ける際には、接種券、本人確認書類(運転免許証、健康保険証など)が必要です。

 ・費用
 無料で接種できます。

●接種を受ける際の同意

 接種は強制ではありません。また、受ける方の同意なく接種が行われることはありません。
 「予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、自らの意志で接種を受けていただ」くとされています。
 会社などでも、接種を強制したり、接種を受けていない人に差別的な扱いをしたりしないように注意が必要です。

 また、接種後に副反応による健康被害が生じた場合には、予防接種法に基づく救済を受けることができます。



2 ワクチン休暇とは

 「ワクチン休暇」とは、新型コロナウイルスのワクチンを接種する際に取得できる休暇制度のことです。
 接種が休日や終業後に集中するのを防ぐ効果があるとされています。

 接種後の副反応として、注射した部分の痛み、疲労、頭痛などが接種した人の50%以上、筋肉や関節の痛み、寒気、下痢、発熱などが10%以上に見られると報告されています。

 こうした症状の大部分は数日以内に回復しているとのことですが(「新型コロナワクチンの接種後の健康状況調査」参照)、従業員が安心して接種できるよう、企業としてワクチン休暇の導入を検討した方がよいでしょう。
(ワクチン接種も、ワクチン休暇導入も、どちらも義務ではありません)



3 ワクチン休暇の内容と導入方法

●ワクチン休暇の内容
 以下のようなものが挙げられます。

・ワクチン接種時や、接種後に副反応が出た場合に利用できる休暇制度の新設
・既存の病気休暇等を前項場面でも利用できるようにする
・労働時間中の中抜けを認め、終業時刻の繰り下げやみなし労働時間として扱う など

●導入方法
①就業規則に規定する
 新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)では、「労働者が任意に利用できるものである限り、ワクチン接種を受けやすい環境の整備に適うものであ」るため、「労働者にとって不利益なものではなく、合理的であると考えられることから」、「変更後の就業規則を周知することで効力が発生するものと考えられ」るとされてます。

 具体的には、ワクチン接種を任意とした上で、

 ・対象者の範囲(従業員だけでなく、その家族も含めるか)
 ・休暇取得可能日(接種当日以外に、副反応が出た場合の上限日数など)
 ・有給なのか、無給なのか
 ・休暇日数(日単位なのか時間単位なのか)
 ・手続きの方法

 などを定め、従業員に周知します。
(常時10人以上の労働者がいる会社は、意見書を添えて労働基準監督署への届出が必要です。)


 しかし、新型コロナウイルスが収束した際など、のちにワクチン休暇を廃止する場合は、就業規則の不利益変更となり、従業員の同意が必要となりますので、注意が必要です。


②規則に規定せず、特別休暇とする
 就業規則などで特別休暇を与える規定があれば、規則の変更が不要のため、迅速に対応することができます。
 業務命令とすることも考えられますが、政府の見解としては、ワクチン接種は「自らの判断で受けるべき」としていますから、接種勧奨にとどめるべきでしょう。



4 ワクチン休暇の事例

 ワクチン休暇の事例として、弊所のお知らせを参考にしてみてください。

 普段の年次有給休暇取得時と同様、ワクチン休暇取得前に、お客様へのサービス等に影響が出ないよう、業務の調整・引継ぎを行うように、従業員にアナウンスしておくといいでしょう。
 また、在宅勤務への切り替えも可能とするなどといった、柔軟な対応も有効です。



おわりに

 安全配慮義務の観点からも、ワクチン接種を勧奨し、ワクチン休暇を設ける企業が増えています。
 繰り返しになりますが、ワクチン接種は従業員の自由意思に基づくものですので、接種の強制、接種を受けていない人への差別的扱いをしないように十分に注意しましょう。