【令和3年度 地域別最低賃金】引き上げ額は過去最高

【令和3年度 地域別最低賃金】引き上げ額は過去最高
令和3年度の最低賃金額が10月から改定されます。
全国の地域別最低賃金額と、最低賃金のポイントをご紹介します。
目次
1 令和3年度地域別最低賃金改定状況
2 最低賃金とは?
・最低賃金の種類
・適用される対象者
・派遣労働者の最低賃金
・対象となる賃金
・最低賃金の周知
3 最低賃金を守らないとどうなるのか?
1 令和3年度地域別最低賃金改定状況
全国の地域別最低賃金は以下のようになっております。

改定額の全国加重平均額は930円。
全国加重平均額28円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以来、最高額となっています。
そもそも、最低賃金とは何なのか?
そのポイントを解説します。
2 最低賃金とは?
●最低賃金の種類
最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない、賃金の最低額を定めた制度です。
賃金の実態調査結果などを参考し、最低賃金審議会で決定しています。
都道府県ごとに定められた「地域別最低賃金」と、特定の産業に定められた「特定(産業別)最低賃金」があります。
「地域別最低賃金」とは、産業や職種にかかわりなく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金です。各都道府県に1つずつ、全部で47件の最低賃金が定められています。
「特定(産業別)最低賃金」は、特定の産業について設定されている最低賃金です。
関係労使が基幹的労働者を対象として、「地域別最低賃金」よりも金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認める産業について設定されており、全国で228件の最低賃金が定められています(令和2年9月1日現在)。
ただし、「特定(産業別)最低賃金」は、
・18歳未満または65歳以上の者
・雇入れ後3か月未満の者であって技能習得中の者
・その他当該産業に特有の軽易な業務に従事する者
などは対象外とされています。
※ 地域別と特定(産業別)の両方の最低賃金が同時に適用される労働者には、高い方の最低賃金額が適用されます。
●適用される対象者
地域別最低賃金は、パート、アルバイト、嘱託など雇用形態や呼称に関係なく、各都道府県内の事業場で働くすべての労働者と、その使用者に適用されます。
精神や身体の障害により著しく労働能力の低い者、断続的労働に従事する者には、都道府県労働局長の許可を条件とする最低賃金の減額特例制度があります。
また、同居の親族のみを使用する事業者または事務所に使用される者および家事使用人は労働者に該当しないため、最低賃金は適用外となります。
●派遣労働者の最低賃金
派遣労働者は、派遣元と派遣先の所在地が異なることがありますが、派遣元ではなく、派遣先の事業所所在地の最低賃金が適用されます。
●対象となる賃金
最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。
ただし、以下のものは除きます。
・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
・1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
・所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
・所定労働日以外の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
・午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
・精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
賃金が時間給以外(月給・日給等)で定められている場合は、賃金を時間当たりの金額に換算して最低賃金時間額と比較します。
●最低賃金の周知
使用者は、最低賃金を周知する必要があります。
厚生労働省の特設サイトでポスターをダウンロードできますので、活用するとよいでしょう。
厚労省 最低賃金広報ツール
愛知県のポスター(表)

3 最低賃金を守らないとどうなるのか?
●最低賃金を支払っていない場合
最低賃金額の改定に気づかず、最低賃金額より低い金額で給与計算をしてしまう場合もあるかもしれません。
その場合、使用者は速やかに差額を労働者に支払わないといけません。
支払わないと、最低賃金法では罰則(50万円以下の罰金)が科せられます。
●最低賃金額より低い賃金で雇用契約を結んだ場合
労使双方の合意であったとしても、それは無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。
また、最低賃金額の改定が適用されるのは、“発効日”以降に働いた分となります。
発効日が賃金計算期間の途中となる場合は、途中から給与額を変更するか、事務処理が煩雑な場合はその賃金計算期間初日から変更すると良いでしょう。
おわりに
政府は、全国加重平均1,000円を目標としていますから、これからますます金額が上がることが予想されます。
ですので、企業はこれまで以上に労働生産性の向上に努める必要があります。
そのためには、人事評価制度を導入し、給与設定の基準を明確にすることをオススメします。
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